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「便秘薬を飲まないと、なかなかお通じが出ないんです」慢性薬剤依存性便秘
ブログ 2025年9月3日

「便秘薬を飲まないと、なかなかお通じが出ないんです」慢性薬剤依存性便秘

崔然昇
崔然昇
代表院長

「薬を飲まないと、お腹が石のように硬くなってしまいます。1週間も持ちません。」

40代後半のある女性は、毎朝、小さな黄色い錠剤であるドルコラックスを取り出します。

5年間繰り返されてきた儀式です。

薬を飲めば夜遅くにトイレに行けますが、

飲まないと下腹部が重く膨らみ、ガスが溜まって座っているのも不快です。

服のウエストラインはどんどんきつくなり、体重計の数字は2~3kgずつ増えました。

通勤途中の地下鉄の中でも、腹部膨満感が息苦しさを伴って感じられます。

この女性のパターンを数値で見ると明確です。

薬服用時、平均10~12時間後に排便、

便の量は多いが水分が少なく硬いです。

未服用時、5~7日無便、

腹囲は3~4cm増えます。

ドルコラックス(ビサコジル)は、大腸粘膜を刺激して排便反射を誘発する「刺激性下剤」です。

問題は、このような刺激が腸の自律的な運動の代わりに

「外部信号」にのみ反応させるという点です。

食物繊維、乳酸菌、ウォーキングを併用しても効果は限定的でした。

そして、ガスの膨張はむしろ悪化しました。

ここまで来ると、単に「便が硬い」というレベルではなく、

腸の働き方自体が変わってしまったのではないかと疑わざるを得ません。

最初は水分と食物繊維不足が原因だと考えました。

「水も1日2リットル飲み、野菜もたくさん食べました。」

しかし、便秘の間隔は変わりませんでした。

もし原因が単純であれば、数週間以内に改善の兆候が見られるはずです。

しかし、変化はありません。

「もしかして、私の腸は自分で動く力を失ってしまったのでしょうか?」

便を作り出して排出する「自律収縮力」が失われたのであれば、

単純な生活習慣の改善だけでは回復は困難です。

問題はもっと深いところに、腸壁内側の神経網と筋肉、

そしてそのリズムを調整するホルモン回路にある可能性があります。

私はこの状態を「ペダルが外れた自転車」に例えます。

本来、腸は腸神経叢と腸筋肉が自律的に収縮・弛緩しながら便を移動させます。

しかし、毎日強い化学刺激だけで動かし続けていると、

腸は自分でペダルを漕ぐことを忘れてしまいます。

漢方医学的には、この状態を脾気虚(ひききょ)

すなわち腸を動かす「気」が弱くなった状態と見なします。

脾の運化機能が低下し、腸気(ちょうき)が不通となり、

水分代謝が滞り、便が乾燥します。

脾気虚治療の核は

腸の「気」を補強し、自ら動く力を取り戻させることです。

そのため、人参、白朮、茯苓、甘草を中心とした

四君子湯(しくんしとう)系の処方を応用します。

便秘がひどい場合は、芒硝(ぼうしょう)、大黄(だいおう)を少量併合し、

「気」を補いながらも詰まった道を開く、攻補併行(こうほへいこう)という戦略を用います。

腹部の冷えと「気」の低下が併発している場合は

健脾温中湯(けんぴおんちゅうとう)類を選択し、脾胃の温かさを回復させます。

鍼治療では、足三里(あしさんり)、天枢(てんすう)、関元穴(かんげんけつ)などを用いて

腸神経叢を刺激し、腸の運動性を促進します。

また、腹部温熱療法と腹式呼吸を併用し、

排便リズムを蘇らせます。

このようなパターンは、特定の個人だけの問題ではありません。

長期間刺激性下剤を服用すると、

腸の筋肉と神経は、次第に外部からの刺激にのみ反応するようになります。

結果として薬物依存性は深まり、

ガス、腹部膨満、体重増加といった付随症状が現れます。

解決策は、単に「便を出させること」ではありません。

腸にペダルを再び取り付けてあげる過程です。

薬の使用を段階的に減らしながら、

腸の「気」を補強する漢方薬、腸の神経網を目覚めさせる鍼・灸、

規則的な排便リズムと腹式呼吸運動を併せて適用する必要があります。

「薬を飲まないと何日も便が出ないという経験、もしかしてありますか?」

もしそうなら、今が、腸のペダルを取り戻す最初の機会かもしれません。

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オーダーメイド治療を。

崔然昇

崔然昇 代表院長

15年の臨床経験と精密なデータ分析に基づき、ダイエットから難治性疾患まで、体のバランスを取り戻す統合治癒ソリューションを提案します。

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